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インドのテレビを理解するうえで大きな特徴となるのが、言語と地域の多様性です。全国規模ではヒンディー語や英語による放送が広く展開される一方、州や地域ごとにベンガル語、マラーティー語、タミル語、テルグ語、カンナダ語、マラヤーラム語、グジャラート語、オディア語、パンジャーブ語、アッサム語などを用いるテレビチャンネルがあります。全国ニュースと地域ニュースが並行して発達し、同じネットワークの中でも言語や対象地域を分けた編成が行われています。
公共放送では、Prasar Bharati のテレビ部門である Doordarshan が全国向けチャンネルと各州・地域を対象とするチャンネルを編成しています。DD National、DD News、DD Sports、DD Bharati、DD Kisan などに加え、各地の言語・文化に対応した地域チャンネルがあり、ニュースだけでなく教育、農業・農村、文化、健康、科学など公共性の高い分野も扱っています。インドのテレビ放送が全国一律ではなく、地域ごとの言語や社会に対応してきたことを示す存在です。
民間のニュース分野でも多言語・地域別の展開が目立ちます。Network18 の News18 はヒンディー語の News18 India や英語の CNN-News18 に加え、複数の地域言語によるニュースチャンネルを持っています。Zee Media もヒンディー語の Zee News を中心に、ビジネスニュース、英語、ウルドゥー語、各地域向けのニュースへと構成を広げています。一方、NDTV は英語・ヒンディー語の全国ニュースに加えて、ビジネスや州・地域に重点を置くチャンネルを展開し、India Today Group は英語の India Today TV とヒンディー語の Aaj Tak などをテレビ部門に持っています。
本ページでは、公共放送の Prasar Bharati(Doordarshan)、多言語・地域別のニュースネットワークを持つ News18、全国・地域ニュースを展開する NDTV、ヒンディー語ニュースの Zee News、英語ニュースの India Today TV を取り上げます。それぞれの放送言語、対象地域、番組分野、沿革をたどることで、インドのテレビが公共放送と民間ニュース、全国向けと地域向け、ヒンディー語・英語と各地域言語という複数の軸で構成されていることが分かります。
Prasar Bharati は、インド議会の法律に基づいて設立された公共放送機関で、テレビ部門として Doordarshan、ラジオ部門として Akashvani を擁しています。テレビについてはニューデリーを中心に全国ネットワークを形成し、DD National や DD News のような全国向けチャンネルと、州・地域に対応した多数の地域チャンネルを編成しています。公共放送として、全国規模の情報と各地域の言語・文化の双方を扱うことが Doordarshan の大きな特徴です。
全国向けでは総合、ニュース、スポーツ、文化、農業など分野の異なるチャンネルがあり、DD National、DD News、DD Sports、DD Bharati、DD Kisan、DD Urdu などが編成されています。地域向けでは、ベンガル語、タミル語、マラヤーラム語、オディア語、アッサム語、パンジャーブ語、グジャラート語、マラーティー語など、それぞれの州や地域に関係する言語を用いたチャンネルがあります。ニュースや娯楽だけでなく、教育、農業・農村、健康、科学技術、地域文化なども公共放送の重要な番組分野です。
Doordarshan のテレビ放送は1959年にデリーで始まった実験放送を起点とし、1965年に定期放送へ移行しました。当初は All India Radio の一部でしたが、1976年にテレビ部門として分離され、その後全国各地へネットワークを拡大しました。現在の公共放送を運営する Prasar Bharati は1997年に発足し、Doordarshan と Akashvani を構成部門としています。
この歴史からも、Doordarshan は単一の全国チャンネルではなく、全国向けと地域向けを組み合わせた公共テレビネットワークとして発展してきたことが分かります。多数の言語地域を持つインドで、全国共通のニュースや公共情報を扱う一方、州や地域ごとの文化・社会・生活にも対応するという二つの役割を担っています。
News18 は、Network18 Media & Investments が展開するニュースネットワークで、ヒンディー語の News18 India を中心に、英語や複数の地域言語によるニュースチャンネルを構成しています。Network18 のテレビ部門には、一般ニュースの News18 India と CNN-News18、ビジネスニュースの CNBC-TV18 や CNBC Awaaz、さらに各州・地域を対象とする News18 ブランドのチャンネルがあり、全国ニュースと地域ニュースを同じネットワークの中で展開しています。
地域向けのチャンネルでは、ベンガル語、マラーティー語、グジャラート語、カンナダ語、タミル語、マラヤーラム語、オディア語など、地域ごとの言語とニュース需要に対応しています。内容も全国政治や経済だけに限られず、州政府や地方行政、都市・農村の社会問題、地域経済、文化、スポーツなどへ広がります。インドのニューステレビが言語圏や州境に沿って細かく分かれていることを示すネットワークの一つです。
ヒンディー語の News18 India は、現在の News18 ブランドへ至るまでに名称変更を経験しています。Network18 は2006年に Channel 7 を取得し、その後 IBN7 として展開しました。2016年には IBN7 が News18 India へ改称され、英語ニュースや地域ニュースを含む News18 ブランドとの統一が進められました。
Network18 の登記上の本社はマハラシュトラ州ムンバイにあり、ノイダにも事業拠点があります。News18 を単独の一チャンネルとして見るより、ヒンディー語の全国ニュース、英語ニュース、ビジネスニュース、地域別ニュースを組み合わせたネットワークとして捉えると、インドの多言語・多地域型のニュース放送の特徴が分かりやすくなります。
NDTV(New Delhi Television)は、ニューデリーに登記上の本社を置く民間ニュース放送会社です。テレビでは英語ニュースの NDTV 24x7、ヒンディー語の NDTV India、経済・市場情報を扱う NDTV Profit のほか、ラジャスタン州、マディヤ・プラデーシュ州とチャッティースガル州、マハラシュトラ州などを対象とする地域ニュースチャンネルを展開しています。全国ニュース、ビジネスニュース、地域ニュースを異なるチャンネルで扱う構成となっています。
NDTV 24x7 は英語で国内外の政治、経済、社会、国際情勢などを扱い、NDTV India はヒンディー語による全国ニュースを中心としています。NDTV Profit は企業、経済、金融市場などに重点を置くビジネスニュースチャンネルです。地域部門では NDTV Rajasthan、NDTV Madhya Pradesh–Chhattisgarh、NDTV Marathi があり、それぞれ州・言語圏に関係する政治、行政、地域社会、経済、文化などを取り上げています。
地域ニュースへの展開は近年拡大しており、NDTV Rajasthan と NDTV Madhya Pradesh–Chhattisgarh は2023年、NDTV Marathi は2024年に加わりました。英語とヒンディー語を中心としてきた全国ニュースネットワークに、州単位・地域言語単位のニュースが加わったことで、NDTV のテレビ部門は全国向けだけでなく地域別の報道も担う構成へ広がっています。
会社自体は1988年に設立され、現在の登記上の本社はデリーにあります。主要な制作・ニュース拠点としてノイダやムンバイも使用されています。英語・ヒンディー語ニュースを軸としてきた背景と、近年のビジネス・地域ニュースへの拡張を合わせて見ると、NDTV は全国規模と州・地域単位の双方を扱うニュースネットワークへ変化していることが分かります。
Zee News は、Zee Media Corporation が運営するヒンディー語の全国ニュースチャンネルです。企業の主要拠点はウッタルプラデーシュ州ノイダにあり、政治、経済、社会、国際情勢、スポーツなどを中心にニュース・時事番組を編成しています。Zee Media のテレビ事業では Zee News が全国ニュースを担っていますが、同社のニュース放送は一つのチャンネルだけではなく、言語や対象分野の異なる複数のチャンネルから構成されています。
全国向けにはヒンディー語の Zee News のほか、経済・金融を扱う Zee Business、ヒンディー語ニュースの Zee Bharat、ウルドゥー語の Salaam TV があり、英語では国際ニュースを中心とする WION を展開しています。さらに、マラーティー語、ベンガル語、グジャラート語など各地域に対応するニュースチャンネルも持ち、全国ニュースと地域ニュースを組み合わせています。こうした言語別の構成は、州や言語圏ごとにニュース市場が形成されているインドのテレビ事情とも結びついています。
Zee News の起点は、Zee TV で行われていたニュース番組にあります。1999年に Zee News が独立したニュースチャンネルとして発足し、その後、ビジネスニュースや地域言語ニュースへとネットワークが広がりました。運営会社は2004年に Zee News Limited、2013年に現在の Zee Media Corporation Limited へ名称を変更しています。
Zee News 自体はヒンディー語ニュースチャンネルですが、運営会社全体を見ると、全国向け、ビジネス、国際、地域という複数のニュース分野が並んでいます。そのため、ヒンディー語の全国ニュースという Zee News 自身の性格と、多言語・多地域型の Zee Media ネットワークに属するという二つの側面を分けて整理することができます。
India Today は、India Today Group が運営する英語ニュースチャンネルで、ウッタルプラデーシュ州ノイダを主要拠点としています。国内政治、経済、社会、国際情勢、ビジネスなどを英語で扱い、同グループのテレビ部門ではヒンディー語ニュースの
Aaj Tak、Aaj Tak HD、Good News Today と並ぶニュースチャンネルの一つです。英語とヒンディー語で異なるニュースブランドを持つことが、India
Today Group のテレビ事業の基本的な構成となっています。
India Today では、日々のニュースに加えて、政治・社会問題の分析、インタビュー、討論、選挙や経済に関する特集などを編成しています。同じグループの
Aaj Tak がヒンディー語の全国ニュースを担うのに対し、India Today TV は英語ニュースを担当しており、言語によってブランドと番組編成を分けています。Good
News Today はヒンディー語を中心に、日常生活や社会の前向きな話題を扱う別の性格を持つチャンネルです。
India Today Group の出発点は、1975年に創刊された英語ニュース雑誌「India Today」です。その後、同グループはテレビを含む複数のメディアへ事業を広げ、2015年には英語ニュースチャンネルにも
India Today のブランド名を使用するようになりました。現在は、ニュース雑誌とテレビチャンネルの双方で「India Today」の名称が使われています。
テレビ部門の主要拠点は、ノイダの Film City にある Mediaplex です。India Today TV、Aaj Tak、Aaj Tak HD、Good News Today のテレビ部門が同じ拠点に置かれ、英語とヒンディー語でそれぞれ異なるニュースブランドを編成しています。1975年に雑誌から始まった India Today Group が、テレビでは言語別のニュースブランドを展開している点も、現在のテレビ事業を理解するうえで重要な背景です。
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