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タイのテレビ事情と放送局

イカテレビ


タイのテレビ局

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タイのテレビ環境が現在の形へ移行する大きな転機となったのが、2010年代に進められた地上デジタルテレビへの転換です。2014年には全国向けの商業デジタルテレビが本格的に始まり、従来から放送を続けてきたテレビ局に加えて、新たな放送事業者も参入しました。アナログ地上波テレビは2020年に終了し、現在の地上デジタルテレビは、公共サービスと民間の全国向け商業放送が並ぶ構成となっています。

タイのテレビには、成立した時代や運営背景の異なる放送局が共存しています。タイ陸軍が運営する TV5 HD は1958年に始まった歴史を持ち、Channel 3 は1970年から民間テレビとして放送を続けてきました。2008年には Thai Public Broadcasting Service Act に基づいて Thai PBS が設立され、ニュース、教育、文化、社会問題などを扱う公共放送として位置づけられています。こうした局の違いからは、軍に関係するテレビ、民間商業放送、公共放送というタイのテレビ制度の複数の系統を見ることができます。

2014年のデジタルテレビへの転換は、新聞や出版を母体とする企業のテレビ参入にもつながりました。Thairath TV は長く新聞事業を行ってきた Thairath のニュース制作基盤をテレビへ広げ、ニュースや時事を大きな柱としながら、スポーツや娯楽なども編成しています。Amarin TV は出版事業から発展した Amarin Group のテレビ部門として、ニュース、生活情報、一般知識、娯楽などを扱っています。両局とも、従来のテレビ事業者とは異なるメディア事業を背景としてデジタルテレビ時代に加わった点が特徴です。

本ページでは、成立時期と運営背景の異なる Channel 3 、TV5 HD 、Thai PBS 、Thairath TV 、Amarin TV を取り上げます。それぞれの沿革、番組分野、組織的な背景を整理することで、タイのテレビが長い歴史を持つ既存局とデジタル化を機に誕生した局、公共放送と商業放送などによって構成されてきた経緯を知ることができます。


Channel 3

Channel 3 は、バンコクを拠点とするタイの民間テレビ局で、現在は地上デジタルテレビの Channel 33 で総合編成を行っています。テレビ事業は BEC World グループの BEC-Multimedia と Bangkok Entertainment によって構成され、ドラマ、ニュース、バラエティ、娯楽、スポーツなどを主な分野としています。特にドラマ制作は長く Channel 3 のテレビ事業を構成してきた分野の一つで、国内向けの番組制作に加えて、タイ国外への番組・コンテンツ展開も行われています。

現在の Channel 3 は一つの総合チャンネルに集約されていますが、地上デジタルテレビが始まった2014年には、BEC-Multimedia が HD 総合の Channel 33、SD 総合の Channel 28、子ども・家族向けの Channel 13 の3免許を取得しました。その後、タイのデジタルテレビ市場の再編に伴って Channel 13 と Channel 28 の免許を返上し、2019年に両チャンネルを終了しています。現在は Channel 33 の 3HD がテレビ事業の中心です。

Channel 3 の歴史は、Bangkok Entertainment が1967年に設立されたことから始まります。テレビ局は1970年に正式に放送を開始し、当初はバンコクと周辺地域を対象としていました。その後、放送網を広げながら全国規模の民間テレビへ発展しました。長く MCOT との事業契約に基づいてアナログ Channel 3 を運営していましたが、その契約は2020年に終了しています。

2020年3月にはアナログ Channel 3 の放送を終了し、テレビ部門は地上デジタル Channel 33 へ一本化されました。1970年から続いたアナログテレビの時代と、2014年以降のデジタルテレビの双方を経験している点は、Channel 3 の沿革を理解するうえで重要です。現在の総合編成にも、長く培われてきたドラマ・娯楽制作とニュース部門の両方が引き継がれています。

  • ジャンル: 総合(ドラマ、ニュース、エンターテインメント、スポーツ)
  • 本拠地: バンコク
  • 言語: タイ語
  • 公式サイト: Channel 3

TV5 HD

TV5 HD(Royal Thai Army Radio and Television / สถานีวิทยุโทรทัศน์กองทัพบก)は、タイ陸軍が運営するテレビ局で、バンコクのパヤタイ地区に本拠を置いています。現在は Channel 5 の地上デジタルテレビとして、政治、経済、社会、国際、スポーツなどのニュースを扱うほか、軍・安全保障に関係する情報、農業、地域社会、ドキュメンタリー、文化、娯楽なども編成しています。民間商業局とは異なる運営背景を持つことが、この局を理解するうえで最も重要な特徴です。

ニュース部門では国内外の一般ニュースとともに、タイ陸軍や国防・安全保障に関係する話題が一つの分野となっています。一方、番組編成全体は軍事関連だけに限定されておらず、農業・地域社会に関する番組、ドキュメンタリー、スポーツ、映画、生活・情報番組なども含まれています。現在の TV5 HD は、自らを公共的な情報と安全保障に関係する役割を持つメディアとして位置づけています。

同局の起源は1958年に始まった Royal Thai Army のテレビ放送です。当初は白黒の Channel 7 として放送を開始し、タイで2番目に開設されたテレビ局となりました。1970年代にカラー方式へ移行した際、放送チャンネルを Channel 5 へ変更し、以後「陸軍 Channel 5」として知られるようになりました。このため、現在の TV5 HD という名称だけでなく、タイのテレビ放送初期から続く陸軍テレビという歴史を持っています。

また、Royal Thai Army Radio and Television はテレビ番組を編成する放送局であると同時に、地上デジタルテレビの全国ネットワーク設備も運用しています。このネットワークは TV5 HD だけでなく、複数の民間デジタルテレビチャンネルにも使用されています。テレビ局としての番組制作と、地上デジタルテレビを支える放送インフラの運用という二つの役割を持つ点も、TV5 HD の特徴です。

  • ジャンル: 総合(ニュース、情報、ドキュメンタリー、エンターテインメント)
  • 本拠地: バンコク
  • 言語: タイ語
  • 公式サイト: TV5 HD

Thai PBS

Thai PBS(Thai Public Broadcasting Service / องค์การกระจายเสียงและแพร่ภาพสาธารณะแห่งประเทศไทย)は、バンコクを拠点とするタイの公共放送機関です。2008年の Thai Public Broadcasting Service Act に基づいて設立され、タイで初めて法律によって設けられた非営利の公共メディア組織として、テレビとラジオなどを運営しています。テレビではニュース、社会、教育、文化、ドキュメンタリー、子ども・青少年向けなど、公共性を重視した分野を扱っています。

番組や報道では、全国的な出来事だけでなく、地域社会、環境、教育、健康、文化、多様な社会集団なども取り上げています。Thai PBS の設置目的には、正確で多面的なニュース、教育的な内容、社会の多様性の反映、市民参加の促進などが含まれています。そのため、地域住民や少数の社会集団にも発言の場を設けることが、公共メディアとしての役割の一つに位置づけられています。

運営制度にも民間テレビとは異なる特徴があります。Thai PBS は通常の商業テレビの広告収入を中心とする仕組みではなく、酒類・たばこに課される物品税の一部を主要な財源とする制度が設けられています。政策を定める理事会と執行部を分けた組織体制も採られており、公共的な目的と編集上の独立性を制度面から支える形となっています。

Thai PBS は2008年に正式に発足しましたが、その設立には、それ以前に UHF テレビを運営していた ITV、TITV をめぐる再編も関係しています。公共放送法の施行に伴って、それまで政府側が管理していた UHF テレビに関係する資産や周波数などが新しい公共放送組織へ引き継がれました。タイのテレビ史の中では、従来の国営・軍系・商業テレビとは異なる公共放送の制度を新たに設けた転換点として位置づけられます。

  • ジャンル: 総合(ニュース、教育、文化、ドキュメンタリー)
  • 本拠地: バンコク
  • 言語: タイ語
  • 公式サイト: Thai PBS

Thairath TV

Thairath TV (タイ・ラットTV / ไทยรัฐทีวี)は、新聞「Thairath」を中心に発展した Thairath Group のテレビ部門で、Triple V Broadcast Co., Ltd. が運営する民間テレビ局です。バンコクを拠点とし、地上デジタルテレビの Channel 32 で、ニュースや時事を編成の大きな柱としながら、スポーツ、バラエティ、娯楽、生活情報なども扱っています。新聞、テレビ、デジタルメディアを持つ同グループの中で、テレビによるニュース・映像報道を担っています。

同局の背景にあるのが、タイの日刊紙 Thairath です。新聞で培われた国内ニュースの取材体制や社会・地域ニュースの蓄積をテレビ事業へ広げる形で設立されました。政治、社会、事件、経済などの一般ニュースに加え、スポーツや芸能・文化に関する情報も扱っています。現在の番組編成でも朝・昼・夕方・夜と複数のニュース枠が設けられ、ニュースを中心としたテレビ局としての性格が表れています。

Thairath がテレビ事業へ本格的に進出したのは、タイで地上デジタルテレビが始まった2014年です。新しいデジタルテレビ免許制度によって Channel 32 の HD 総合チャンネルとして Thairath TV が発足しました。従来のアナログテレビ局がデジタル方式へ移行した例とは異なり、新聞社を母体とするメディアグループが新たにテレビ放送へ参入した例として、2014年のタイのテレビ市場の変化を示しています。

運営会社の Triple V Broadcast、新聞を発行する Vacharapol、デジタルメディアを担当する会社は、それぞれ別法人ですが、いずれも Thairath Group を構成しています。テレビ局単独ではなく、新聞の取材基盤とテレビの映像報道を組み合わせている点が Thairath TV の特徴であり、タイの新聞メディアがデジタルテレビ時代に活動領域を広げた経緯を知るうえでも特徴的な存在です。

  • ジャンル: 総合(ニュース、時事、スポーツ、エンターテインメント)
  • 本拠地: バンコク
  • 言語: タイ語
  • 公式サイト: Thairath(Thairath TV)

Amarin TV

Amarin TV(Amarin TV HD 34)は、バンコクの Bangkok Noi 地区に本拠を置く民間テレビ局で、Amarin Television Co., Ltd. が運営しています。同社は Amarin Corporations Public Company Limited の子会社で、地上デジタルテレビの Channel 34 を担当しています。ニュース、時事、一般知識、生活情報、娯楽などを組み合わせた総合編成となっており、特定の一分野だけに限定されないテレビ局です。

ニュースでは国内の政治、社会、事件、経済などを扱い、そのほかに住宅・暮らし、食、旅行など生活に関係する情報番組、ドキュメンタリーや知識系コンテンツ、バラエティ、ドラマなども編成しています。Amarin Group が出版分野で長く扱ってきた住宅、生活、健康、文化などのテーマと、テレビでのニュース・娯楽番組が一つのメディアグループの中に共存している点にも特徴があります。

テレビ事業を運営する Amarin Television は2012年に設立され、タイの地上デジタルテレビ免許制度の開始に合わせて全国向け HD 総合チャンネルの免許を取得しました。Amarin TV は2014年に放送を開始し、Channel 34 のデジタルテレビ局として現在の基盤を築いています。Channel 3 や TV5 HD のようにアナログテレビ時代から続く局ではなく、デジタル化を契機として生まれたテレビ局であることが沿革上の大きな違いです。

親会社の Amarin Corporations は出版、書籍流通、イベントなど複数のメディア・文化関連事業を持ち、テレビ部門はその中の Amarin Television が担っています。Amarin TV を単独の放送局として見るだけでなく、出版を起点として事業領域を広げてきた Amarin Group の一部として見ると、出版企業がタイのデジタルテレビ市場へ参入した背景が分かりやすくなります。

  • ジャンル: 総合(ニュース、生活情報、ドキュメンタリー、エンターテインメント)
  • 本拠地: バンコク
  • 言語: タイ語
  • 公式サイト: Amarin TV

国の概要

国名
タイ王国 (Kingdom of Thailand / ราชอาณาจักรไทย)
言語
タイ語
首都
バンコク (Bangkok / กรุงเทพมหานคร)

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